空き家を所有しているけれど、「何から手をつけたらいいか分からない」「活用の方法が見えない」とお悩みではありませんか?放置された空き家は、資産価値の低下や景観悪化、さらには治安や防災リスクにもつながる深刻な問題です。
本記事では、空き家の現状や国の対策をはじめ、自分で住む、貸す、建て替える、解体するという基本的な活用方法から、民泊・福祉施設・店舗・オフィス利用といった具体的な12の活用事例まで、幅広く紹介します。また、費用面での負担を軽減できる補助金制度や、成功するための注意点についても詳しく解説しています。
空き家の有効活用に向けて第一歩を踏み出したい方は、ぜひ最後までお読みください。
ここでは日本の空き家の現状について詳しく解説します。
日本全国で深刻化している空き家問題。総務省の「住宅・土地統計調査」によれば、2024年時点で全国の空き家数は約900万戸、空き家率は13.8%と過去最高を記録しました。これは住宅の7戸に1戸が空き家という異常な事態です。
とくに目立つのが、地方部での空き家増加。若年層の都市部への人口流出や高齢化により、家を相続しても使われないケースが増えています。これにより、防犯・防災・衛生などのリスクが高まり、地域社会全体にとって大きな課題となっています。
住宅が放置されることで、建物の老朽化や雑草の繁茂、不法侵入のリスクなども発生し、近隣住民の生活環境にも悪影響を及ぼします。空き家は個人の資産であると同時に、地域の課題でもあるのです。
こうした問題に対応するため、国も本腰を入れて対策を進めています。代表的なのが「空家等対策の推進に関する特別措置法」です。この法律により、倒壊や景観悪化の恐れがある空き家は「特定空家」に指定され、市町村が指導や命令、最終的には強制代執行も行えるようになりました。
また、空き家の利活用を支援する補助金や融資制度も整備。たとえばリフォーム費用への補助や耐震改修、さらには民間事業者による利活用に対する助成金など、多岐にわたります。2024年には相続登記の義務化も施行され、名義変更を放置できなくなったことで、管理責任の明確化が進みつつあります。
これらの制度をうまく活用することで、空き家を“負動産”から“資産”へと変えることが可能になります。特に、自治体ごとに支援内容が異なるため、まずは地域の制度を確認することが重要です。
空き家の活用には、自分で住む、他人に貸す、民泊をやりたい人に貸す、建て替える、更地にするといった4つの選択肢があります。それぞれにメリットと注意点があるため、立地や資金、将来の展望を考慮しながら最適な方法を選ぶことが重要です。
ここでは、代表的な4つの活用方法について、ポイントを絞ってご紹介します。
最もシンプルな活用方法は、自分たちで空き家に住むという選択です。住宅ローンの負担がないケースも多く、リノベーションを行えば快適な住環境を安価で手に入れることができます。
特に田舎暮らしを希望する人にとっては、広い敷地や自然に囲まれた暮らしが魅力です。実際に、移住支援制度やリフォーム補助金を活用して空き家を再利用する人も増えています。
古民家再生ブームや二拠点生活の広がりにより、空き家を活かして自分らしい住まいをつくる動きも活発です。自分たちの居住空間としての再活用は、愛着を持って家を守っていくという意味でも非常に有効です。
空き家を居住用物件として第三者に賃貸する方法は、最も一般的な活用方法の一つです。
賃貸物件として貸し出すことで、安定した家賃収入が得られる可能性があります。ただし、空き家をそのまま貸し出すことは難しいケースも多く、入居者募集前にリフォームやリノベーションが必要になることがほとんどです。
また、建物の耐震性や水回りの整備、外観の修繕など、安全かつ快適に住める状態にすることが重要です。借り手が見つかるかどうかは、立地や周辺環境によって大きく左右されますので、周辺の家賃相場や需要の有無を事前に調査しましょう。
さらに、入居者トラブルを避けるために、管理会社に運営を委託するのも一つの手です。初期投資はかかりますが、長期的な収益を見込める活用法といえます。
空き家を民泊運営を希望する人に貸し出す方法は、近年注目を集めている活用方法です。
民泊運営者に貸し出す場合、借主が民泊に必要な設備投資や改修を自己負担で行うため、オーナーは初期費用をほとんどかけずに家賃収入を得ることができます。また、民泊に適した物件は希少性が高く、通常の居住用賃貸よりも2〜3割高い家賃設定でも借り手が見つかりやすいのが特徴です。
特に観光地や交通アクセスの良いエリアでは、民泊運営者からの需要が高く、安定した収益を期待できます。ただし、民泊は住宅宿泊事業法などの法的規制があるため、借主が適切な届出を行うかどうかの確認が重要です。
初期投資を抑えながら高収益を期待できる、非常にお得な活用方法といえるでしょう。
老朽化が進んだ空き家をそのまま利用するのが難しい場合には、建物を取り壊して新たな賃貸住宅や集合住宅などを建てるという選択肢もあります。これは初期投資が高額になる一方で、将来的に高い利回りを狙える点が魅力です。建て替えにより、最新の設備や耐震基準を満たす住宅を建てることができ、入居者にとっても安心して暮らせる魅力的な物件になります。
また、二世帯住宅やアパート、シェアハウスなど、地域の需要に合わせた設計を行うことで、より高い入居率が期待できます。ただし、建築には建築基準法や都市計画法など、さまざまな法的規制が関わるため、事前に行政への相談や建築士への依頼が必要です。将来的な活用を見据えて、資金計画と収支シミュレーションを慎重に行いましょう。
空き家の状態があまりにも悪く、再活用が難しい場合は、建物を解体して更地にするという方法もあります。更地にすれば、土地活用の幅が広がり、売却や新たな建築にも対応しやすくなります。ただし、住宅用地の固定資産税特例が外れるため、税額が上がる点には注意が必要です。用途に応じた土地活用の可能性を事前に検討してから決断しましょう。
更地活用は、駐車場や資材置き場、太陽光発電用地、貸地など、アイデア次第で収益化の可能性が広がります。建物の老朽化が激しい場合や、リフォーム費用が高額になる場合に検討する価値があります。
空き家の活用方法は多様化しており、住居として貸すだけでなく、ビジネスや福祉施設、オフィスなどさまざまな用途があります。この章では、全国で実際に行われている12の活用事例を紹介し、空き家の可能性をより具体的にイメージしていただけるよう解説します。
観光地や都市部では、民泊としての活用も注目されています。訪日外国人観光客の増加に伴い、需要は拡大傾向にあります。民泊新法に則った届け出や運営体制の整備が必要ですが、稼働率が高ければ収益性の高いビジネスになります。
京都市では、町家風の空き家をリノベーションし、年間稼働率80%以上を誇る民泊施設として運営している例もあります。
比較的手軽に始められるのが、戸建て賃貸への転用です。単身者やファミリー向けに貸し出すことで、安定した家賃収入を得られます。特に駅近や学校に近いエリアでは需要が根強く、空き家を活用する上で現実的な選択肢となります。
実際に、埼玉県川口市では築40年超の木造戸建てを軽微なリフォームで賃貸化し、地域住民向けに月6万円で貸し出す成功例があります。
若者や外国人の間で人気が高まっているのがシェアハウスです。空き家を複数人で共有する形にリノベーションすることで、比較的低コストで運営が可能です。地域交流を促すイベントと連動させることで、魅力的な住空間を演出できます。
東京都三鷹市では、空き家をシェアハウスに改装し、地元の農家と提携した「食と暮らしをつなぐ」住まいとして若者から支持を集めています。
空き家を時間単位で貸し出す「レンタルスペース」も近年人気です。会議、ワークショップ、パーティーなど多様な用途に対応でき、短期間での収益化が可能です。立地に応じて用途を柔軟に設定できる点が魅力です。
大阪市では、空き家の一室を時間貸しのセミナー会場として提供し、平日昼間の稼働率が70%を超えるなどの成功事例があります。
カフェや雑貨店、ギャラリーなど、空き家を店舗として貸し出す活用方法もあります。地域活性化につながるだけでなく、長期契約が期待できる点もメリットです。店舗利用の際は、用途地域や建築基準法に注意しましょう。
長野県松本市では、古民家を改装したカフェが観光名所になり、周辺エリアの集客効果にも貢献しています。
高齢者向けのデイサービス施設やグループホームなど、福祉用途への転用も増えています。自治体との連携が重要ですが、地域の福祉ニーズを満たす社会貢献的な側面もあります。
広島県では、空き家を改修して障がい者向けのグループホームとして運営し、地域雇用の創出にもつながった例があります。
住宅確保が難しい低所得者や高齢者、障害者などに向けた「セーフティネット住宅」としての活用も注目されています。国や自治体が賃貸人に対して支援を行う制度も整備されており、安定した運用が見込めます。地域貢献と収益性の両立が可能な選択肢です。
福岡県北九州市では、空き家をセーフティネット住宅に活用し、高齢者の入居支援を行うNPOが話題となっています。
都市部の企業が地方に分散拠点として設ける「サテライトオフィス」も空き家活用の一例です。テレワークの普及と地方創生の流れを背景に、企業からの需要が高まっています。地域の雇用創出にもつながるため、自治体による支援も期待できます。
徳島県神山町では、空き家を改装してIT企業のサテライトオフィスとして提供し、移住者増加と地域活性化に成功しています。
フリーランスやスタートアップ向けのコワーキングスペースとしての転用も可能です。Wi-Fiや会議室などを整備すれば、都市部に限らず地方でも需要があります。利用者同士の交流の場にもなり、地域の新たなコミュニティ形成にも貢献できます。
宮崎県都城市では、商店街の空き家を再利用したコワーキング施設が開設され、若年層のUターン起業を後押ししています。
空き家の屋根や敷地を活用して太陽光発電を行う方法もあります。太陽光発電は再生可能エネルギーの一種で、発電した電力を自家消費することもできますし、電力会社に売電して収益を得ることも可能です。
特に、屋根が南向きで日当たりの良い立地にある空き家であれば、高い発電効率が期待できます。近年では、国や自治体による補助金制度も充実しており、導入費用の一部を負担してもらえる場合もあります。また、固定価格買取制度(FIT制度)により、一定期間安定した価格で電力を買い取ってもらえる点も魅力です。
ただし、設備導入には初期投資が必要であり、売電価格の変動やメンテナンスコストも考慮する必要があります。環境にやさしいエコな活用方法として注目されていますが、収支計画を明確にしてから導入することが大切です。
都市部や観光地などでは、空き地を月極駐車場やコインパーキングとして活用する方法もあります。初期投資が比較的少なく、運営がシンプルなため、空き家を取り壊した後の活用法として人気です。周辺環境とのマッチングが成功のカギとなります。
神奈川県横浜市では、駅徒歩5分の空き地をコインパーキングに活用し、土地の有効利用と収益化に成功しています。
荷物の保管ニーズに応えるトランクルームやレンタル収納スペースも、空き家の新たな使い道として注目されています。居住スペースを個室や棚に仕切り、セキュリティ対策を施せば運営が可能です。都心部では特に需要が高く、空き家の立地次第では高収益を期待できます。
東京都墨田区では、築30年の戸建て住宅を改装してトランクルームとして運営。月額料金制で、近隣住民からの利用が増え続けています。
空き家の活用を検討する際、費用面での不安を感じる方も多いかと思います。そんなときに心強いのが、国や自治体による補助金制度です。実は、空き家の改修や活用方法によっては、さまざまな補助制度が利用できる可能性があります。
たとえば、リフォームや耐震改修に対する補助、民泊運営のための設備導入支援、さらには福祉施設やセーフティネット住宅としての改修に対する補助金も存在します。
また、地域の移住促進策の一環として、空き家バンクを通じた活用に補助が出るケースもあります。補助額は数十万円から百万円を超えることもあり、活用計画を立てる際には各自治体の公式サイトをチェックすることが大切です。
空き家を活用する際には、目的や地域特性に合った活用方法を選ぶだけでなく、収支バランスや法的手続きにも十分注意が必要です。
特に、不動産として貸し出す場合には建物の安全性や耐震性、消防法などの法令を満たす必要があり、事前の調査が不可欠です。また、想定する利用者層にニーズがあるかを事前に調査・分析することも成功の鍵となります。初期投資の回収見込みや運営コスト、将来的な維持・修繕費も見据えたうえで計画的に進めましょう。
専門家のアドバイスを受けるのもおすすめです。
空き家を活用する際には、まずその地域にどのような需要があるかをしっかりと把握することが重要です。例えば、都市部であれば単身者や外国人観光客向けの民泊やシェアハウスのニーズが高い一方、地方であれば子育て世帯や高齢者向けの賃貸住宅、福祉施設としての活用が適している場合があります。周辺の交通アクセス、学校、病院、商業施設の有無なども需要に大きく影響します。
加えて、人口動態や地域の再開発計画なども踏まえることで、将来的な需要を予測することができます。ニーズとずれた用途で活用を始めても、借り手や利用者が集まらず、結果的に赤字となってしまうリスクがあります。
市場調査や自治体への相談を通じて、地域の需要に合った活用方法を検討することが成功への第一歩です。
空き家活用を成功させるためには、初期投資の金額とその回収期間をしっかりと見積もることが欠かせません。リフォームや耐震補強、設備の新設などには多額の費用がかかる場合があり、これらを無計画に行ってしまうと、賃貸収入や施設運用益だけでは採算が取れなくなる可能性があります。
仮に1,000万円の改修を行い、月々の収益が10万円であれば、単純計算でも100ヶ月(約8年4ヶ月)かかることになります。この期間が長すぎる場合、資金繰りが厳しくなることも考えられます。
ただし、民泊をやりたい人への貸し出しなら、借主が設備投資を負担するため初期費用がほとんどかからず、通常より2〜3割高い家賃設定も可能です。初期投資を抑えて高収益を期待できる、非常にお得な活用方法といえるでしょう。
また、空室リスクや税金、固定資産税の支払いなども考慮に入れる必要があります。専門家の力を借りて、収支シミュレーションをしっかりと行い、何年で黒字転換できるかの計画を立てたうえで判断しましょう。
空き家を活用する際、見落とされがちなのが「ランニングコスト(維持管理費)」です。初期投資ばかりに目が向きがちですが、実際には毎月・毎年発生する費用も大きな負担となる可能性があります。
例えば、固定資産税、光熱費、保険料、設備のメンテナンス費用、清掃費、管理委託料などが該当します。また、築年数が古い物件ほどトラブルが発生しやすく、修繕費用が予想以上に膨らむこともあります。
これらの費用を無視したまま事業計画を立ててしまうと、実際に運用を始めてから収支バランスが崩れ、事業継続が困難になるケースもあります。収益だけでなく、定期的にかかる支出も正確に把握し、経営計画にきちんと組み込んでおくことが安定した運用のカギとなります。
空き家を活用する際には、「いずれどうするのか」という出口戦略までを見据えておくことが非常に重要です。
たとえば、活用期間を10年と定めたうえで、その後は売却するのか、更地にして土地活用に切り替えるのか、あるいは再度リノベーションして活用を続けるのかなど、長期的な視点で方針を定める必要があります。
特に人口減少や高齢化が進む地域では、空き家の資産価値が年々下がっていく傾向があり、将来的に買い手や借り手が見つからないという可能性も十分にあります。
また、相続の問題や固定資産税の上昇リスクも考慮しておくべきです。最終的な活用方針を明確にすることで、それに向けた設備投資や契約形態、管理体制などを計画的に整えることができ、無駄な出費やリスクを回避しやすくなります。
空き家の活用は、方法次第で大きな可能性を秘めています。しかし、実際には「何から始めればいいか分からない」「手続きが難しそう」「リスクが心配」といった不安を抱える方も少なくありません。そんなときは、空き家活用の専門家である「部屋バル」にご相談ください。
部屋バルでは、物件の状態や地域性をふまえた最適な活用プランをご提案し、手続きから運用まで一貫してサポートいたします。民泊、賃貸、店舗活用など、さまざまな運用実績とノウハウをもとに、オーナー様にとって最適な空き家活用をお手伝いします。空き家の有効活用をご検討中の方は、ぜひ一度お問い合わせください。