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スタッフ日記

2025.12.11

豊島区で民泊ルールが厳格化へ?2026年以降の動きを解説!

豊島区における民泊を取り巻く条例について、新たな改正が検討されています。2025年9月に発表された内容には、営業可能日数の大幅な制限や、住居専用地域での新規民泊開設禁止など、これまでの運営環境を大きく変える内容が含まれています。

本記事では、豊島区で検討されている条例改正の具体的な内容や、同様の動きを見せている他の自治体の状況、そして規制強化が始まる前に民泊オーナーが準備すべきことについて詳しく解説します。
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豊島区が検討する新たな条例内容とは?

豊島区では2025年9月に民泊営業を大きく制限する条例改正案が公表されました。これは住民の生活環境を守ることを主な目的としたもので、各種制限や規制を時目とした複数の厳しい内容が盛り込まれています。

この条例改正案は2026年7月の施行を目処としており、既に運営している事業者にも影響を及ぼす可能性があります。ここでは具体的にどのような規制が検討されているのか、詳しく見ていきましょう。

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営業日数「84日制限」案

豊島区の条例改正案で最も注目されているのが、営業可能日数の大幅な制限です。現在の民泊新法では年間180日まで営業が可能ですが、新たな条例案では春、夏、冬休みの合計120日間に営業を限定する方針が示されました。

これまでの180日から60日、2か月分の営業日数現象となるため、ある程度収益構造を見直す必要が生じるといえるでしょう。

既存の民泊施設についても、1年間の間は経過措置として今まで通りの日数分営業は認められていましたが、2026年12月より施行されることとなります。この制限により、民泊を副業として運営していた個人オーナーにとっては、事業継続の判断を迫られることになります。

営業可能期間が春休みから夏休み・冬休みに限定されることで、限定的とはいえずとも相当の日数の減少は避けられません。東京観光の需要が高まる時期に営業できないことは、収益機会の大きな損失につながるでしょう。

住居専用地域での民泊新設が禁止

条例改正案では、営業日数の制限に加えて、新規民泊開設を区画内の7割で全面的に禁止する方針も示されています。これまでは当然ながら全域で許可されていましたが、これからは3割でしか新規開設ができなくなるため、これから民泊を始めようと考えている方にとっては、物件選びの選択肢が大幅に狭まることになりかねません。

住居専用地域は住宅としての環境を重視する地域であり、商業活動を制限する目的で設定されています。文教地区も同様に、学校などの教育施設周辺の環境を守るための地域指定です。

既に住居専用地域や文教地区で民泊を運営している事業者については、当面は営業継続が認められる見込みです。しかし新規の届出や事業譲渡などの際には、この制限が適用される可能性があります。

この規制により、豊島区で新たに民泊を始める場合は、商業地域や近隣商業地域など、限られたエリアでの物件探しを余儀なくされるでしょう。条例改正案には開業時の住民説明会の義務化や、海外オーナーへの国内代理人設置の義務化なども含まれており、運営開始までのハードルが全体的に高くなっています。

住民からの苦情が急増

豊島区がこのような厳しい規制を検討する背景には、住民からの苦情件数の急増があります。2024年度時点で区に寄せられた民泊関連の苦情は120件以上に達しており、この数字は前年度と比較しても増加傾向にあります。

苦情の内容は多岐にわたりますが、最も多いのがゴミ出しルールの違反や騒音に関するものです。民泊利用者が地域のゴミ出しルールを理解せず、指定日以外にゴミを出したり、分別が不十分だったりするケースが頻発しています。

豊島区が実施した町会長へのアンケート調査では、約7割の町会長が何らかのトラブルを経験したと回答しています。この結果は、民泊営業が地域コミュニティに少なからず影響を与えていることを示しています。

こうした状況を受けて、豊島区は住民の生活環境を守ることを優先し、民泊営業に対する規制強化に踏み切る方針を固めました。苦情の増加は豊島区に限った現象ではなく、東京都内の他の自治体でも同様の状況が見られます。近隣住民への配慮と適切なコミュニケーションが、今後の事業継続においてより一層重要な要素となってくるでしょう。

豊島区以外に民泊規制が検討されている地域を紹介!

豊島区だけでなく、東京都内や全国の自治体で、民泊営業に対する規制を見直す動きが広がっています。

ここでは豊島区以外で民泊規制の強化が検討されている主な地域について、具体的な内容を紹介します。

墨田区

墨田区でも2025年に入ってから、民泊の運営に関する条例について見直しを強める動きがみられるようになりました。これまで比較的規制も厳しいものではなかったため、ある程度民泊運営も規制を意識することなく運営できていました

墨田区が検討している主な規制内容は以下の通りです。

規制項目

内容

平日営業の原則禁止 月曜正午から金曜正午まで営業不可
例外規定 24時間常駐の管理体制があれば営業可能
説明会の義務化 開業前に近隣住民への説明会実施が必須
違反公表制度 条例違反事業者の情報を公表

墨田区の特徴的な点は、平日営業を原則禁止とする一方で、24時間常駐管理体制を確保できれば例外を認めるという仕組みです。これまで一般的だった「駆けつけ対応」では平日の営業ができなくなるため、運営方法の大幅な変更を迫られることになるでしょう。

墨田区では住宅宿泊事業等の規制のあり方に関する検討会議を複数回開催しており、2025年4月の第1回会議から段階的に議論を進めています。第3回会議では条例骨子案が提示されており、今後の動向が注目されています。

墨田区の民泊関連情報:墨田区住宅宿泊事業等の規制のあり方に関する検討

北区・葛飾区・江戸川区など

東京都内では北区、葛飾区、江戸川区なども民泊規制の検討に着手しています。これらの区は従来、民泊新法の基本ルール(年間180日制限)のみで運営が可能だったエリアです。

葛飾区では現在、住宅宿泊事業と旅館業に関する条例の制定を検討しており、公式サイトでその方針を公表しています。葛飾区の場合、既に詳細なガイドラインを設けて民泊事業者への指導を行っていますが、より強制力のある条例化を進める動きがあります。

主な検討項目:

  • 営業日数や営業時間の制限
  • 住居専用地域での規制強化
  • 事前説明会の義務化
  • 管理体制の厳格化

葛飾区の民泊関連情報:葛飾区住宅宿泊事業(民泊)について

北区や江戸川区も同様の検討を進めているとされており、東京23区全体で民泊規制の強化が連鎖的に広がる可能性があります。これまで規制が緩かったエリアほど、今後の方針転換が事業者に与える影響は大きくなるでしょう。

大阪市

東京都外でも民泊規制の見直しが進んでいます。特に注目されるのが大阪市の動きです。大阪市は特区民泊制度を活用して民泊を推進してきた自治体の一つですが、近年は規制強化の方向に舵を切ったもようです。

大阪市では既に以下の規制を実施しています。

規制内容

詳細

住居専用地域の制限 第1種・第2種低層住居専用地域等で全期間営業禁止
学校周辺の制限 小学校・義務教育学校の敷地から100m以内は平日営業禁止
消防法令適合通知書 届出時の提出が必須
道路要件 幅員4m以上の道路に接する必要あり

大阪市の特徴は、住居専用地域での規制を地域特性に応じて細かく設定している点です。幅員4m以上の道路に接する住宅の敷地については例外を設けるなど、一律の規制ではなく柔軟な運用を目指しています。

そして、2025年12月に大阪市の特区民泊新規受付を終了することが正式に決定したと発表されました。インバウンド拡大に向けて2016年から開発を推進してきましたが、トラブルの増加に伴い2026年5月29日をもって新規受付が終了することになったのです。

大阪市の民泊関連情報:大阪市住宅宿泊事業について

このように全国的に民泊規制が厳格化する流れが生まれており、自治体ごとに異なる規制内容を正確に把握することが、今後の民泊運営において不可欠となっています。

豊島区で規制強化が始まる前に民泊オーナーがすべきこととは?

2026年7月の条例施行が予定される中、豊島区で民泊を運営している、またはこれから始めようと考えている方は、今のうちに適切な対策を講じる必要があります。

ここでは具体的にどのような準備や判断が求められるのかを解説します。

旅館業許可への切り替えを検討する

営業日数の制限を回避する最も有効な方法は、旅館業法に基づく許可を取得することです。旅館業の簡易宿所営業許可を得れば、多くの場合で年間365日の営業が可能になります。

豊島区の条例改正案では、住居専用地域での新規民泊開設が禁止される一方、商業地域や近隣商業地域にある物件であれば旅館業への切り替えが検討できます。ただし旅館業許可を取得するには、民泊新法よりも厳しい基準をクリアしなければなりません。

まず確認すべきは物件の用途地域です。住居専用地域では原則として旅館業許可が取得できないため、商業地域や準工業地域などに立地している必要があります。続いて消防設備の設置が求められ、自動火災報知機や消火器などの設備を整える必要があり、これには相応の費用をかけなければなりません。

旅館業許可の取得には初期費用がかかりますが、長期的な運営を考えるなら投資価値は高いといえます。申請手続きには数週間から数ヶ月かかることもあるため、2026年の条例施行前に準備を進めることがポ求められます

長い目での投資を計画する

長期的な収益を見据えた投資計画を立てることは、不動産など初期費用が高くなりやすいジャンルほど重要になります。

まとまった資金を投じる以上、短期回収だけにとらわれず、数年先まで安定して利益を積み上げられる仕組みを設計することが求められます。初期費用が150万円かかる場合でも、月13万円前後の利益で1年回収を目指しつつ、その後の収益がどれだけ継続して積み上がるかを同時にチェックする視点が不可欠です。

すでに運用している方も、単年での損益だけでなく、複数年のキャッシュフローを想定したシミュレーションを行うことで、投資効率の最適化ができます。

需要が高まるタイミングで価格を調整し、逆に閑散期には長期利用メリットをつけて稼働率を確保するなど、中長期で安定収益を作るための施策を計画的に組み込むことが大切です。それでも想定より収益が伸びない場合は、事業転換や売却を含めた選択肢を早めに検討することで、大きな損失を避けられます。

長く運用する前提だからこそ、最初から過剰な投資をせず、拡張しやすい体制でスタートすることが賢いやり方です。環境変化の影響を受けやすい時期に大規模な設備投資を行うと、回収前に外部要因でつまずくリスクが高まるため、まずは必要最低限の構成で市場に参入し、収益が安定してから段階的に設備やサービスを強化するほうが長期リターンを最大化しやすいです。

備品類はレンタルや中古を活用して初期固定費を抑えつつ、規制変更や市場状況の変化に合わせて柔軟に動ける状態を保つことが重要です。数百万円規模の大規模投資をしてから外部要因に直撃するリスクを避けるためにも、長期運用に耐えられるエリアや環境を見極めたうえで、あえて小さく始める姿勢が堅実な投資戦略と言えるでしょう。

豊島区でこれから1〜2年でどう規制が変わるかを解説!

豊島区の条例改正を契機に、民泊業界全体が大きな転換期を迎えています。

今後1〜2年の間に、規制環境がどのように変化していくのか、その見通しを解説します。

新法の緩和と自治体の規制が混在していく

興味深いことに、国レベルでは民泊新法の規制緩和が進められている一方で、自治体レベルでは規制強化の流れが同時に起きています。この相反する動きが、民泊運営の環境を複雑にしています。

民泊新法は2018年の施行以降、段階的に緩和されてきました。住宅宿泊管理業者の登録条件が緩和され、誰でも取得しやすくなったのはその一例です。

しかし自治体では、住民からの苦情増加という現実的な課題に直面しています。豊島区や墨田区のように、これまで緩やかだった規制を厳しくする動きは、住民の生活環境を守ることを優先した結果です。自治体は地域住民の声を直接受け止める立場にあるため、国の方針とは異なる判断をせざるを得ない状況にあります。

事業者としては、国の法律だけでなく、運営する自治体の条例を常に確認する必要性が高まります。自治体によって規制内容が大きく異なるため、複数エリアで運営する場合は特に注意が必要です。ある自治体で問題なく運営できている方法が、別の自治体では条例違反になる可能性もあります。

自治体ごとに方向性が違ってくる

今後は自治体ごとに民泊に対する方針が明確に分かれていくでしょう。大きく分けると規制強化型、条件付き容認型、推進型の3つのパターンに分けられています。

規制強化型の自治体は、豊島区や墨田区のように住民の生活環境を最優先する方針を取ります。営業日数や営業エリアを厳しく制限し、住居専用地域での新規開設を禁止する傾向があり、既存施設についても段階的に規制を適用していく可能性が高く、事業継続のハードルが年々高くなる見込みです。

条件付き容認型の自治体は、一定の条件を満たせば営業を認める方針を取ります。24時間常駐管理体制などの要件を設定し、それをクリアできる事業者には営業を許可する形です。近隣説明会の徹底による地域との調和を重視し、違反者への罰則を強化することで適正運営を促す方針が特徴です。

推進型の自治体は、観光振興や空き家活用を優先する立場です。地方や観光地では積極的に民泊を受け入れ、補助金制度や支援策を用意している自治体もあります。

豊島区のような都心部の住宅地では規制強化が進む一方、観光地や地方では民泊を歓迎する自治体もあります。京都市では一部エリアで規制緩和の議論も始まっており、観光シーズンに限り営業日数制限を緩和する案が検討されているのです。

民泊事業を継続させたい、または新たに始めたい方は、自分の物件がある自治体の方針を見極めることが最重要課題となります。自治体の公式サイトや民泊制度ポータルサイトを定期的にチェックし、最新情報を入手する習慣をつけましょう。

民泊について詳しく知りたい方は部屋バルへ!

豊島区をはじめとする各自治体の民泊規制強化により、これからの民泊運営には専門的な知識と戦略が不可欠となっています。「自分の物件は今後も営業できるのか」「旅館業への切り替えは可能か」「どのエリアなら安心して始められるのか」など、多くの疑問や不安を抱えている方も多いでしょう。

部屋バル」は、民泊・旅館業などの宿泊施設に特化した資産運用サービスを提供しています。豊富な実績と専門知識を持つスタッフが、お客様の状況に合わせた最適な提案を行っています。

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