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スタッフ日記

2025.07.31

空き家問題の8つの解決策とは?空家等対策特別措置法や空き家を活用し民泊運営をする際の注意点を解説

日本全国で急増する空き家問題は、都市部だけでなく地方でも深刻な社会課題となっています。空き家を放置すると、景観の悪化や犯罪の温床になるリスクが高まるだけでなく、地域コミュニティの衰退にもつながります。

こうした状況に対応するため、国は「空家等対策特別措置法」を施行し、各自治体も様々な対策を講じています。

この記事では、空き家問題の背景やリスクを整理したうえで、民泊や賃貸経営、空き家バンクの活用など8つの具体的な解決策を解説。さらに、空き家を民泊に転用する際の注意点についても触れていきます。

空き家問題の背景とリスク

近年、日本における空き家の数は右肩上がりに増加しています。背景には人口減少や高齢化、都市への一極集中など複数の要因があり、今後さらに深刻化することが予想されます。

特に地方では、相続された住宅がそのまま放置されるケースも多く、管理されない建物は倒壊や火災のリスクを高めます。

ここからは、空き家問題の背景やリスクについて解説します。

空き家問題の背景

空き家が増加している最大の背景は、人口減少と高齢化です。特に地方では若年層の都市部流出により、実家が空き家となるケースが目立ちます。

また、少子化に伴い新たな住民の流入も少なく、空き家が解消されにくい構造が続いています。加えて、住宅ローンの完済後に建物が老朽化し、住めない状態になるものの、解体費用や税制上の問題から取り壊されずに放置される事例も少なくありません。

こうした構造的な問題が、空き家の増加を加速させているのです。

空き家問題を放置すると生じるリスク

空き家を放置することによって生じるリスクは多岐にわたります。まず、老朽化した建物が自然倒壊する危険があり、近隣住民の安全を脅かします。

加えて、火災の原因になるほか、不法侵入や不審者のたまり場になるなど、治安悪化の懸念もあります。また、雑草や害虫の発生による衛生面の悪化、景観の悪化が地域全体の住環境に悪影響を及ぼす点も見逃せません。

さらに、行政にとっては防災・防犯コストの増大、住民の間では不動産価値の下落といった経済的損失にもつながるため、早期対策が不可欠です。

空家等対策特別措置法とは?

空き家問題を本格的に解決するために、2015年に施行されたのが「空家等対策の推進に関する特別措置法」、略して空家等対策特別措置法です。

この法律は、長期間にわたり適切な管理がなされていない空き家を「特定空家」に指定することを可能にし、自治体に強い権限を与えています。特定空家に指定されると、所有者に対して管理改善の指導や勧告、さらに命令が下されることがあります。

これまでは、所有者が管理を怠っていても、自治体が介入する明確な法的根拠がなく、対応が困難でした。しかしこの法律の施行により、空き家による周囲の安全リスクや景観悪化を防ぐための具体的な手続きが整備されました。

例えば、特定空家に指定されると、自治体は所有者に対し、建物の解体や補修を求めることができ、命令に違反すれば代執行も行えるようになっています。これにより、これまで手つかずだった空き家の問題に対して行政の対応が強化されるようになりました。

空き家問題の要因

空き家問題がなかなか解決しないのは、さまざまな複雑な理由が絡み合っているからです。

単に空き家が放置されているだけでなく、法律や行政の仕組み、そして社会全体の構造的な問題が影響しています。

ここからは、空き家問題の主な要因を詳しく解説していきます。

空き家の所有者の特定が困難

空き家の対策を進めるためには、まず誰がその空き家を所有しているのか特定することが不可欠です。しかし、実際には所有者の特定が非常に難しいケースが多く見られます。

例えば、相続が発生した後に相続登記が行われていない場合や、所有者が長期間連絡が取れない場合があるためです。

こうした状況では、自治体が所有者に連絡を取って指導や助言を行うことができず、問題解決が遅れてしまいます。また、所有者が海外に住んでいたり、高齢で対応が難しいことも多く、所有者を特定するだけでも大きなハードルとなっています。

所有者を特定し助言・指導しても改善が見られない

空き家の所有者が特定できたとしても、必ずしもその所有者が空き家の管理や改善に積極的に取り組むとは限りません。

特に空き家の管理には修繕費や維持費がかかるため、経済的な負担が大きいことが多いのです。そのため、所有者は空き家の処分や管理を後回しにしてしまうことが少なくありません。

また、所有者が高齢であったり、遠方に住んでいる場合は、現地での管理が難しくなるケースもあります。

自治体は所有者に対して助言や指導を行い、空き家の適切な管理を促しますが、必ずしもその通りに動いてもらえるわけではありません。助言を無視したり、管理状況が改善されない場合も多く、結果として空き家の劣化や周囲への悪影響が続いてしまいます。

代執行の費用回収ができない

空き家の所有者が管理を怠り、放置状態が続く場合、自治体は「代執行」という手続きを利用して空き家の解体や修繕を強制的に行うことができます。

これは空家等対策特別措置法に基づく行政の権限であり、所有者が管理義務を果たさない場合の最終手段として位置づけられています。

しかし、代執行には多額の費用がかかることが多く、その費用を所有者から回収できないケースが多いのが現実です。

所有者が連絡不通で所在が分からない場合や、経済的に支払い能力がない場合、自治体は回収困難な費用を自己負担しなければなりません。これにより、自治体の財政負担が増し、他の行政サービスに悪影響を及ぼす恐れもあります。

また、代執行によって解体された空き家の土地は、更地の状態で所有者に返還されますが、その後の土地利用や売却も所有者の意向に左右されるため、空き家問題の根本的な解決にはつながりにくいケースも少なくありません。

空き家の利活用件数が伸びない

国や自治体は空き家の活用促進を目的に、空き家バンクの設置や利活用支援のための補助金制度を整備しています。これにより、空き家の売却や賃貸、リフォームを通じて地域の活性化や住宅問題の解決を図ろうとしています。

しかし、実際の利活用件数はなかなか増えていないのが現状です。その理由の一つは、空き家の情報が十分に所有者や購入希望者に届いていないことです。

さらに、空き家をリフォームして利用可能な状態にするには、費用がかかります。多くの所有者にとって、その費用を負担することが大きな壁となっており、活用が進みにくい理由の一つとなっています。

空き家対策人員の人材が不足している

空き家問題の対策を推進するためには、専門的な知識や経験を持つ人材が不可欠です。自治体では空き家の調査や所有者への連絡、助言・指導、そして代執行の実施まで、多岐にわたる業務を担当しています。

しかし、多くの自治体ではこうした専門人員が不足しているため、十分な対応が難しい状況です。特に地方自治体では予算や人員が限られているため、空き家対策に割けるリソースが不足しています。

結果として、空き家の実態調査が不十分だったり、所有者への働きかけが遅れたりするケースが多く見られます。

また、空き家対策には法律的な知識や行政手続きのスキルも必要なため、担当者の育成には時間とコストがかかります。こうした人材育成が遅れると、現場の対応力が低下し、問題解決までの期間が長引いてしまう恐れがあります。

空き家問題は年々深刻化しており、対応が追いつかない自治体も増えています。

空き家問題の8つの解決策とは?

空き家問題は単に家が使われていないだけでなく、防災や治安、景観などさまざまな面で地域に悪影響を与えています。そのため、多角的なアプローチでの解決策が求められています。

ここでは代表的な8つの解決策をご紹介します。それぞれの方法にはメリットとデメリットがあるため、所有者の状況や地域の特性に合わせて選ぶことが重要です。解決策をうまく組み合わせて、空き家問題を根本から解決していくことが求められています。

①民泊を運営する

空き家を活用する最も注目されている方法の一つが民泊運営です。民泊は、空き家を短期的な宿泊施設として提供し、観光客やビジネス客などに貸し出すことで収益を上げることができます。特に観光地や都市部では需要が高く、空き家の有効活用に繋がっています。

民泊運営を始める際には、地域のルールや条例を遵守しなければなりません。例えば、消防法や衛生管理の基準を満たすこと、近隣住民への配慮、宿泊者の安全確保など、多くの準備と管理が必要です。

物件検索サービス「部屋バル」は、民泊運営をサポートするサービスとして注目されています。部屋バルでは、空き家の物件探しから運営代行、トラブル対応まで幅広く対応できるため、初めての民泊運営でも安心して始められるのが特長です。

さらに、地域との調整や集客支援も行っており、安定した運営を目指せます。これにより、空き家を放置するのではなく、収益を生む資産に変えることが可能です。

②賃貸経営を行う

空き家を賃貸物件として活用する方法は、長期的に安定した収入を得たい所有者に適しています。賃貸経営は、空き家のリフォームや修繕を行ったうえで賃借人に貸し出し、家賃収入を得る仕組みです。

これにより、空き家の放置による劣化を防ぎ、地域の住環境の維持にもつながります。

賃貸経営を始める際は、物件の魅力を高めるための改修やリフォームが必要となることが多く、その費用や手間が負担になることもあります。

また、入居者募集や契約、トラブル対応などの管理業務も発生します。これらを自分で行うのが難しい場合は、不動産管理会社に委託することもできます。

長期的な視点で見れば、賃貸経営は空き家を資産として活用しつつ、経済的な負担を軽減する有効な方法です。ただし、地域の賃貸需要や物件の状態、周辺環境などをよく調査した上で計画を立てることが重要です。

③賃貸併用住宅に建替える

空き家を取り壊して新しく賃貸併用住宅に建替える方法もあります。賃貸併用住宅とは、自分が居住するスペースと賃貸用のスペースが一つの建物にある形態で、住みながら賃貸収入を得られるのが特徴です。

この方法のメリットは、住居部分と賃貸部分を分けることでプライバシーを確保しつつ、経済的な負担を抑えられることです。また、新築のため耐震性や省エネ性能など最新の住宅性能を備えることができ、長期的に見て快適な住環境を実現できます。

一方で、建替えにはまとまった資金と時間が必要です。また、賃貸部分の運営や管理も考慮しなければならず、専門的な知識や経験が求められる場合があります。地元の建築業者や不動産会社と連携し、計画的に進めることが成功のポイントとなります。

④建物ごと売却する

空き家の建物をそのまま売却する方法は、所有者にとって早期に負担を解消できる手段です。特に建物の状態が比較的良好であれば、住宅としての需要があるため、売却しやすいケースがあります。

売却には不動産仲介業者の活用が一般的で、適正な価格設定や買い手の発見が重要となります。また、売却後は所有者の管理責任がなくなるため、空き家問題から解放されるメリットがあります。

ただし、建物が老朽化していたり、修繕が必要な場合は買い手がつきにくくなることもあります。そのため、売却前に必要最低限のリフォームを行うか、売却価格を適切に設定することが求められます。

⑤更地にして売却する

建物を解体して更地にした上で売却する方法もあります。土地の価値が高い地域では、更地のほうが買い手にとって利用しやすいため、売却がスムーズになることがあります。

更地にするには解体費用がかかりますが、その分土地の売却価格に反映されやすく、所有者が得る利益を最大化できる可能性があります。また、更地の状態であれば、買い手が新たに建物を建てる自由度が高まるため、需要が高まる場合があります。

しかし、解体工事には手続きや近隣への配慮が必要であり、これらを適切に行うことがトラブル防止につながります。費用対効果をよく検討し、専門家に相談しながら進めることが重要です。

⑥借地権付建物として売却する

借地権付建物として売却する方法は、土地を他人から借りて建てられた建物を所有している場合に有効です。この場合、建物の売却とともに借地権も譲渡されます。

借地権は土地の所有権とは異なり、一定の期間土地を借りる権利を意味します。借地権付建物の売却は、土地の所有者と借地権者の権利関係が複雑であるため、売買契約や権利の引き継ぎに注意が必要です。

この方法は、借地権の存在を活かしながら空き家を売却できるため、土地を購入せずに住みたい買い手にとって魅力的な選択肢となります。ただし、借地権の契約内容や更新条件などを明確にし、トラブルを避けることが大切です。

⑦空き家バンクを活用する

空き家バンクは、自治体や地域団体が運営する空き家の情報登録・紹介制度です。所有者が空き家の売却や賃貸を希望する場合に、物件情報を登録して購入希望者や賃借希望者に紹介する仕組みです。

空き家バンクを利用することで、地域の空き家情報が集約され、買い手や借り手が見つかりやすくなります。特に地方では、空き家バンクが地域活性化の一環として重要な役割を果たしています。

ただし、空き家バンクの登録や利用には一定の条件があり、物件の状態によっては利用が制限されることもあります。自治体によってはリフォーム補助金の支給や相談窓口の設置など、支援体制が充実している場合もあるため、積極的に活用することがおすすめです。

⑧リバースモーゲージを活用する

リバースモーゲージは、高齢者が自宅を担保に金融機関から融資を受ける制度で、返済は死亡時や売却時にまとめて行う仕組みです。これにより、住宅を売却せずに生活資金を確保できるため、特に高齢者の資産活用に注目されています。

空き家が自宅として使われている場合に活用されることが多いですが、所有者が遠方に住んでいる空き家にも応用できるケースがあります。リバースモーゲージを利用することで、維持管理費用や改修費用を賄うことができ、空き家の劣化防止や活用促進につながります。

ただし、制度の利用には条件や審査があり、融資額や返済方法について慎重な検討が必要です。地域の金融機関や専門家に相談しながら、自身の状況に合った活用方法を選ぶことが大切です。

空き家を活用し民泊運営をする際の注意点

空き家を民泊に活用することは魅力的な収益方法ですが、運営には多くの注意点があります。法律や地域のルールを守るのはもちろんのこと、近隣住民とのトラブルを避けるための配慮や、運営体制の整備が必要です。

ここでは、民泊運営を成功させるために特に重要なポイントを解説します。

注意点をしっかり守ることで、空き家を活用した民泊運営は、所有者にとっても地域にとっても良い形で機能することができます。

運営開始前に近隣住民に事前説明を行う

民泊を始める前に最も重要なことは、近隣住民に対して十分な説明を行い理解を得ることです。説明会を開いて運営の目的や方法、周辺環境への配慮について丁寧に伝え、住民の意見や不安を聞く機会を設けることが大切です。

説明会では、民泊による経済的メリットだけでなく、騒音やゴミ問題、治安の悪化などの懸念に対してどのように対応するかを具体的に説明することが求められます。

また、トラブル発生時の連絡先や対応体制についても明確に伝え、住民が安心できる環境づくりを心がけましょう。

近隣住民の協力を得ることは、民泊運営の継続に欠かせません。信頼関係を築くことで、問題発生時にも迅速に解決しやすくなり、地域全体の良好な雰囲気を保つことができます。

宿泊のためのルールを作り周知を徹底する

民泊の運営では、宿泊者に守ってもらうルールを明確に定めることが重要です。騒音の制限時間、ゴミの出し方や分別方法、共有スペースの使い方、駐車場の利用ルールなど、細かいところまでルールを作り、宿泊者にしっかり周知しましょう。

これらのルールは予約時の案内文やチェックイン時の説明書、物件内の掲示物などでわかりやすく伝えることがポイントです。また、ルール違反があった場合のペナルティや対処方法も明確にしておくことで、宿泊者のモラルを保ちやすくなります。

宿泊者がルールを守ることで、近隣住民とのトラブルを防ぎ、地域の安全と快適さを保つことができます。オーナー側は、これらのルールを定期的に見直し、必要に応じて改善していく姿勢も大切です。

空き家を貸したい方は部屋バルへ

空き家を上手に活用して収益化したい方には、「部屋バル」のサービスがおすすめです。部屋バルは、空き家や空室の情報を簡単に登録でき、賃貸や民泊運営を希望する借り手とのマッチングが可能です。

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